vol.2

「各駅停車」の旅を楽しむならキャンピングカー!

 北陸新幹線が開業して、金沢を中心とした北陸各地が大賑わいだった、去年。今年3月には北海道新幹線も開業するし、どこへ行くのも便利になったものだと思う。
仕事で出張する身の上には、この時間短縮と利便性の向上は、ありがたいの一言に尽きる。東海道新幹線だって、のぞみができてからはぐっと時間が短縮されて、大阪日帰りも当たり前になった。だが、プライベートな旅となると、どうだろう?
 確かに、車の旅は疲れる。なにしろ、どんなにショートカットなコースを選んでも、徹頭徹尾、自分で運転しなければならない。渋滞だってある。途中でトイレに行きたくなったら、困ったりもする。

「一刻も早く金沢に到着して、金沢に滞在する時間を最大限、長く取りたい」。
そういう旅なら、キャンピングカーを持っている私だって、新幹線を使う。
が、新幹線では、途中の地域が「すっ飛ばされて」しまう。そんな土地を楽しむなら断然、キャンピングカーだ。

キャンピングカーの旅が、普通の車旅と違う大きな点がひとつある。それは宿が持参できる、ということだ。
宿はいわば旅の「拠点」だ。旅の足が列車であれ、車であれ、最終的には毎日、その日の宿に到着せねばならない。よほどの行き当たりばったり旅でなければ、大抵は旅館やホテルを事前に予約し、それに合わせて、旅の行程も決まってくる。
その点、キャンピングカーの旅は本当に風来坊だ。

 数年前のこと。長野方面へ行ってみようかな。と計画した。長野といえばスキーの時ぐらいしか寄り付きもしない土地だったが、ふと、雪のないときはどんなだろう?と思ったのだ。
いくら風来坊とはいえ、おおよそのアウトラインぐらいは決めておく。一泊目はどの辺まで行こうか? 絶対に見たいもの、食べたいものはないかな? こんな時、本当にインターネットとは便利なもんだ、と思う。全国各地の道の駅の情報はもちろん、立ち寄り温泉、地方グルメ…ありとあらゆる情報が即座に検索できる。個人のブログなんかだと、口コミまで一緒に拾えたりする。何か一つ、端緒をつかむと、あとは芋づる式になったりもするのも面白い。
子供時代からガールスカウトで鳴らしたカミさんは、毎年長野へキャンプに行っていたという。ならば、と意見を乞うと、「五平餅は地域によって味噌が違っておもしろい!」だの「『おやき』は野沢菜か、ナス味噌がおいしい!」だの…。基本、食べ物の話しか出てこない。が、スキーの行き帰りに五平餅もおやきも買ったことがなかったので、意外なところに情報源があったことにも驚いた。そうやって夫婦で連想ゲームをするうち、「長野ったら、信州蕎麦でしょうよ!」ということになり、蕎麦好きの間でおいしいと評判の手打蕎麦店を検索。いくつか目星をつけて、出発した(いつの間にか、旅の目的が食の探訪になっていた)。

果たして。
蕎麦の香り高い手打ちの味は最高だった。トップシーズンを外していたせいか、お店の人たちものんびり。大将と世間話もできた。高地で栽培される蕎麦の話から高原野菜の話題になった。朝晩の寒暖の差が大きいことで、トウモロコシもキャベツも、ぐっと甘味、うま味が増すのだという。途端に、「今夜は野菜を食べよう!」と頭に浮かび、隣を見ると、同じことを思ったカミさんが、すでにスマホで検索を始めていた…。

そんな具合で、昼に蕎麦、夜は高原野菜を食べさせるブラッスリー、翌日にはブランチにおやき、五平餅…と長野グルメを堪能して帰ってきた。もちろん、夜は温泉である。
ゆっくりしたペースで、地元の店の人とおしゃべりをする。そこから情報をもらって、造り酒屋を訪ねたり、自家製ハーブティを出す喫茶店へ立ち寄ったり。すべて情報源は、ネットと、地元の方々だ。こんな旅、新幹線じゃあ、マネできまい。

何も、遠くまで行かなくてもいい。隣の県だっていい。ランダムに検索してみれば、温泉があるかもしれない。郷土料理の店があるかもしれない。
思いつくままに、まだ見ぬ土地を散策する。そんな弥次喜多道中には、キャンピングカーがぴったりなのだ。