vol.3

キャンピングカーがほしい! そう言い出したときに障壁になりがちなのが、家族の理解である。何しろ大きな買い物ではある。子供ならいざ知らず、大人、特に女性(細君)を納得させるのはひと苦労だ、という話をよく聞く。
反対される理由はいろいろあるが、決まって言われるのが「アウトドアなんてイヤ」ということ。実は、かく言う私もアウトドアは苦手である。外見のせいなのか、根っからのアウトドア人間だと思われることが多いのだが、全く正反対なのである。
好きな人にとってみれば「大自然との一体感」だとか「原点回帰」だとかというが、嫌いな人間にとってはそれこそが苦痛なのだから相容れない。
あるアウトドア達人曰く『冷え切ったシュラフに潜り込む。じわじわと身体が温まってくると同時に、さっき飲んだアルコールが回ってくる。テントに当たる雨粒が眠気を誘う…』だなんて、冗談じゃない!私は泥酔してたってテントでは寝られない。テントに当たる雨音なんかしようものなら、心配で飛び起きてしまうだろう。多分。
その点、わが家内は違う。小学時代から大学卒業までガールスカウトに所属してリーダーまで務めたという、根っからのアウトドア派だ。「アタシが知ってるテントは帆布でできてて三角形。ポールは木製! テントの周りにはスコップで側溝を掘ったもんよ!」などと言う。そんな自衛隊のサバイバル訓練みたいなキャンプ、私の理解の範疇をはるかに超えている。
そのくせ、家の中で虫が出ると大騒ぎするのだからわけがわからない。彼女いわく「キャンプ場なら平気なのよ!虫がいて当たり前。彼らの領分にこっちがお邪魔してるんだから仕方がないでしょ」。…彼女の中では、筋が通っているらしいので(そして危険なので)私はあえて反論はしない。
で、こんな二人の妥協点がキャンピングカーだったというわけだ。
このコラムの初回にも書かせていただいたが、キャンピングカーは『どこでも別荘』だ。家と変わらないしっかりしたつくりで、構造体の中で休める安心感は何よりも魅力だ。

寝る場所の次は食事の心配だ。「キャンプ」と聞くと、バーベキューやカレーをイメージする人も多いだろう。確かに、バーベキューにもカレーにも一理あって、焼けばなんとか食べられる、鍋一つで煮込めばOKといのはアウトドアではありがたい。誰がやっても失敗が少ないのも、設備の整っていないキャンプ場では助かるメニューだ。
だが、キッチン設備の充実したキャンピングカーなら、何も外で料理しなくてもいい。冷蔵庫やガスレンジがあれば十分、煮炊きはできる。もちろん、料理はしなくたっていい。キャンピングカーは動く別荘なので、地元の美味しい店へ行けばいい。その土地で採れたものを味わう。これ以上の贅沢はない。スーパーで売られているお惣菜にだって、郷土料理があったりする。
旅先は野山とも限らない。どこで・何をしてもいい。溜まりにたまった本を読破するもよし。家内は刺繍だの編み物だのに精を出していたりする。いまだにシュラフでは寝られない私が、キャンピングカーなら何泊でもイケるのを見ても、お分かりいただけるだろう。
キャンピングカーは究極の、インドア遊びなのである。